「ダメ人間」の履歴書。

働くの大嫌いな俺様がイヤイヤ働いてきた記録。

第18章 現像液製造

まーたまた失業中の俺である。

毎週、求人誌を眺めるパターンは変わらない。

この頃には、とっくにバブルは弾けていたので、「デイリーan」はデイリーではなくなり、週刊になっていた。

発売日に求人誌を手に入れ、先方に電話を掛けても、話中になる事が多かった。

求人に対して応募が殺到していたのだろう。
それくらいの売り手市場になっていた。

だから、俺のような「若さ」以外にとりえも無く、やる気も無い者には就職は難しい時代になっていた。

こうなってくると、簡単に就職できるのは、他人がやりたがらない職種に限られてくる。

この頃から、
他人がやりたがらない仕事に就く→退職
というパターンが続く事になる。

という事で、今回は現像液製造の仕事だ。

とりあえず自宅から近かったのと、前述の状況により、採用されたのがココだけだったからだ。

ここの仕事、正直、何を作っているのかよく分からない。

ただ、重い、臭い、汚れる、と人がやりたがらない要素は揃っていた。

さて、ここでの仕事は前日の作業の片付けから始まった。

毎朝、散らかっているのを所定の場所に戻し、整頓するのだ。

先輩からやり方を教わるのだが、この先輩、とにかく「見とけ!」しか言わない。

一通り見せた後、「じゃあ、もう出来るな。やってみろ!」と言うのだが、

一度見ただけで、全ての手順を覚えて完コピなんて出来るわけがない。

「なんで、出来ないんだ!もう一度見とけ!」

と、また見せられる。
実際にやりながら、体を動かした方が覚えられると思うのだが、この先輩はそうは思っていないようだ。

先輩が馬鹿なのか俺が馬鹿なのか分からないが、
ただ黙って見る→実践→完コピならず。
を数回繰り返した後、ようやく完コピとなり、この日の作業を終えた。

結局、この仕事も、先輩が馬鹿すぎる(俺も馬鹿なのだろうが。)ので、辞めてしまった。

カメラがデジタル化し、写真の現像が不要となった現代、この会社、現在はどうなっているのだろう。