第19章 おしぼり屋
さて、また失業者となってしまった俺だが、突如、おしぼり屋で働く事になった。
友人の妹がバイトしているとかで、その妹からの紹介であった。
てか、友人の妹にまで、俺のダメ人間ぶりが伝わっているのか!
情けないが、仕事が無いのは実状なわけで、働きに行く事にした。
なんでも、人が集まらないとの事だったので、キツイとか汚いとかの仕事なのだろう。
俺に出来るか?続くとは思えないのだが。
まぁ、とりあえず行ってみた。
ここでの仕事は、顧客の店から回収してきた、おしぼりを洗浄し、再び商品として、顧客に届けられる状態にするというもの。
俺に与えられた持ち場は、回収してきたおしぼりが入ったコンテナをベルトコンベアの上にぶちまけるといった作業。
ベルトコンベアに載せられたおしぼりは、漂白液の中に投入されていくのだ。
簡単な作業だが、ラクではなかった。
というか、ちょっとした地獄だった。
プチ地獄。
回収されてきた、おしぼりたが、これは湿っている上にちょっと生暖かい。
これがGのつく虫には良い環境らしく、コンテナを逆さまにして、ぶちまけると、小さいGどもが、飛び出してきやがる!
虫嫌いの俺には震えが走った。
Gどもはおしぼりと一緒に漂白液へ投入されていった。
奴らはきっと皆殺しであろう。
なんとも気色悪い仕事だ。
まともな神経では続けられない仕事だと思った。
だからなのか、同僚には、健常者はいなかった。
頭脳やら精神やらに、何らかの疾患を持っている者がほとんどだった。
そのせいか、休憩時間に話し掛けても、ほとんど会話が成立しなかった。
語り合える同僚もいない職場ってどうなのよ?
友人の妹とも会わなかったな。
どうやら、別の建物で働いているらしく、そちらは綺麗に仕上がったおしぼりを包装しているらしい。
そこは女性だけの持ち場だそうだ。
こちらとはエライ違いだ。
こちらはもう、Gと・・・。
結局、友人の妹の紹介で入ったにもかかわらず、俺はすぐに辞めてしまった。
ダメ人間ぶりに磨きがかかったと友人たちも思ったに違いない。
それと、この職場、漂白液がやたら目にしみたな。