第20章 N○K集金
さて、また失業者となってしまった俺だ。
その日も求人誌を捲っていた。
ふと目に止まったのは、某テレビ放送局の受信料集金の仕事だった。
委託と書いてあった。
若さゆえの無知か、この時の俺には委託の意味が分からなかった。
まぁ、行って説明を聞けば解るかと、電話を掛けてみた。
すると、一次審査は書類選考なので、履歴書を送ってくれという。
さすが、天下のエヌエッチ・・そう簡単には面接もさせないぜ!
数日後、電話が掛かってきた。
どういうわけか、書類選考を通ってしまったらしい。
俺は面接会場へ向かった。
面接では業務委託の説明を受けた。
ふむふむ、なるほど、個人事業主になるのか。
そして、この仕事の素晴らしさをやたら聞かされた。
「個人事業主は言ってみれば社長ですよ!」とか、
「集金すればするほど儲かります!」とか、
「取り立てのノウハウがあるから、絶対に集金できる!」とか。
後日、採用の電話をもらったが、俺は断ってしまった。
だって、絶対に集金出来るとか言ってたけど、そんなのウソだから。
そう、この頃の俺は受信料を払ってなかったのだ。
しかし、なんで俺を採用しようと思ったのだろう。
俺だったら、俺なんか絶対に採用しないのにな。