第17章 熊手屋
またまた失業してしまった。
急いで仕事を見つけて働かなければいけないのだが、分かっちゃいるのたが、ヤル気が出ない。
通勤がかったるいというのが理由のひとつ。
近くても遠くても、かったるくて行く気力が削がれてしまう。
みんなよく通っていられるよなぁ。
ほんとに感心してしまう。
さて、通うのがかったるいという事で、次に見つけた仕事は内職。
熊手を作る仕事だ。
熊手?そう、熊手!
商売繁盛を祈願して壁に飾るあの熊手。
問屋に行って、パーツを購入する。
サイズがいろいろあるのは、みんなも知ってるだろう。
毎年、だんだんと大きくしていくのは有名だ。
なので、パーツもいちばん小さい「豆」から「特大」まで、各種ある。
これらパーツを購入して、グルーガン(ヒートガン)を使って接着していって、組み立てるのが今回の仕事だ。
子どもの頃、プラモ作りが得意だったので、どってことない作業だ。
完成したら、これを業者に買い取ってもらう。
大抵、とっぽい顔したお兄さんが来て、買い取っていく。
この仕事は珍しく、ちょっと長く続いた。
まぁ、結局辞めてしまったわけだが。
内職では生活できるだけの賃金を稼げないのだ。
はじめから分かっていた事なのだが、仕事がラクなのでしばらく続けてしまったのだ。
また明日から無職だ。