「ダメ人間」の履歴書。

働くの大嫌いな俺様がイヤイヤ働いてきた記録。

第8章 カー用品店

さて、また仕事を辞めてしまった俺は、ヒマで仕方がなかった。

家に居ると大家が家賃の催促に来るので、とりあえず外出する。

近所の池のある公園で水面を眺めて過ごす。

爺さんたちがヘラブナ釣りをしている。
のんびりしているように見えるが、片手で練り餌の粘度を調整したりと、見た目よりかは忙しいらしい。

たっぷり時間を潰してから帰ると、ドアポストにチラシが入っていた。

見ると、近所に近々、カー用品店がオープンするらしい。
しかもバイトも募集しているみたいだ。

俺はクルマよりバイクの方が好きだが、まぁ、クルマもちょっと興味があったので、応募してみる事にした。

まだネットの普及していなかった時代、当然、電話だ。

訊けば、エントリー用紙を用意してあるので、履歴書は不要だという。
金欠状態の俺にはありがたい。

面接当日。
エントリー用紙に記入。
職歴欄が小さい。
すでに職歴を多く重ねていた俺は、職歴欄に収まりきらない。

仕方ないので、テキトーに端折って記入した。

この頃の俺は金髪に近い茶髪だったが、それは問題視されなかった。
その場で採用されてしまった。

出勤初日、今日から研修が始まる。
まだオープン前なので、研修は別の店舗で行う。

朝は早く起きられた。
時間にも余裕はあった。
時間に余裕があったせいか、余計な事を考えてしまった。

俺に務まるのだろうか?
この頃の俺は人付き合いが苦手になってきていた。
不安な気持ちに包まれる。

あと10分で自宅を出ないと間に合わなくなる。

あと5分で自宅を出ないと間に合わなくなる。

あと1分で・・・

あぁ、とうとう間に合わなくなった。

どうしても脚が動かなかった。

結局、初日をバックレてしまった。
なんてダメな人間なのだろう。

俺の失業期間はもう少し続きそうだ。