「ダメ人間」の履歴書。

働くの大嫌いな俺様がイヤイヤ働いてきた記録。

第2章 新聞配達

時を遡って学生時代。
この頃、新聞配達のバイトをやっていた。
きっかけは中学の同級生だった。
そいつは新聞配達で稼いだカネでバンドを始めるための楽器を買ったという。
いいなぁ。と思った俺は、そいつに新聞販売店を紹介してもらった。
そこでは、履歴書も必要なかった。ただ、そいつと一緒に行って挨拶して終わり。
朝3時に来いという。

俺は早起きして新聞販売店へ向かった。
早起きは苦ではなかった。今もそうだが、朝は早朝に目が覚める。どんなに夜ふかししても、早朝には目が覚めるのだ。

そこには俺の同級生が3人いた。俺を入れて4人だ。
バイクの免許を持っていないのは俺だけだった。ここで稼いだカネで免許を取得するつもりだったのだ。

近々退職するという社員の下につくことになった。
小太りの汗臭いオヤジだったが、美容院に転職するのだとか。
見た目では判らないものだな。
そのオヤジ(自分が子供だったから、そう見えただけで実際は若かったようだ。)の後をついて仕事を覚えるのだが、向こうはバイク、こっちは自転車。ずっと鬼コギである。

もう一つ問題があった。バイクと自転車では積載量が違うのだ。
バイクで一度に積みきれる量でも、自転車では分割しないと積めないのだ。
そこで、中継所を設けることになった。
あるアパートの軒先に新聞を置いておくのだ。
それを配達途中で積んでいくというやり方だ。

同級生の中では俺が一番配達量が多かった。
なかなかハードだったが、ある同級生は長ーい坂を鬼コギで登った先が配達エリアで、こちらもなかなかにハードそうだった。

それでも仕事自体は楽しかった。
唯一辛かったのは犬を飼っている家だ。(俺は猫派。犬は苦手だ。)
この家の犬は凄く吠える猛犬だ。
一応、リードに繋がれているのだが、これがギリギリ噛まれる長さなのだ。
もうちっと短くしとけよ!
俺は新聞を固く丸めて(大抵、何部か余る。)棒状にし、猛犬と戦いながらポストに投函していた。

あとは不配(配達忘れ)が無いことを祈るだけだ。
全ての配達を終えて販売店に戻ったところで、客から新聞が届いてないと電話があった事を伝えられる事もあるのだ。
この場合、7時までに配達しないと契約不履行になるとか何とかで、まぁとにかく急いで自転車をすっ飛ばす事になる。


まだ若くて体力があったから、ハードな仕事だったが、疲れが残ることは無かった。
いくらだったが忘れたけど収入にも満足していた。
辞めるつもりもなかった。
たが終焉はやって来る。
同級生の一人が強風の中での配達中、自転車が倒れて新聞が飛んでいってしまった。
そしたら、そいつ「やってらんねー。」と自転車も新聞も捨ててバックレてしまった。
残された俺らの立場はよ?
その後、毎日のように所長から愚痴られるようになった。
今の若者は根性が無いとかなんとか。
そんな毎日に俺も居づらくなって辞めてしまった。
結局、俺も根性の無い若者だったわけか。