「ダメ人間」の履歴書。

働くの大嫌いな俺様がイヤイヤ働いてきた記録。

第1章 お土産屋4

そう、時はバブル景気。
俺が働き始めた頃はまだ景気がスッゲー良かった。
例えば、ある客の場合、1万円札を出して「これで買えるだけ詰めて!」とくる。
そして、お釣りを渡そうとすると、「いいよ!お兄ちゃんとっときなよ!」とくるのである。
こんな客がしょっちゅう来るのだ。
1日の売上は100万円なんて余裕で超えた。
売上が多かったせいか、カネの管理がいいかげんで、社員はよくレジのカネを持ち出して昼めしを食べたりしてた。俺もよく奢ってもらってたな。共犯者にしたかったのか?
俺はヒマだったから8時から22時まで働いてた。
今じゃ考えられんな。まだ若くて体力もあったし、なによりヤル気があったのだろう。
ヤル気スイッチが付いてたんだな俺にも。(どこへいってしまったんだろう俺のヤル気スイッチ。)
だが、そんな好景気も程なくして終わってしまうのだ。
「近々バブルが弾けるらしい。」大人たちがそんな会話をしていた。
子供だった俺には何だかよく分からなかった。
まぁ、たいした変化は無いだろう。そう思っていた。
そして、ホントにバブルは弾けた。
その途端にである。売上は1/4に減った。
1万円札を出す客なんていなくなった。
急にヒマになった。営業時間も短縮された。
時給で稼ぐバイトにとっては死活問題だ。
それと人事異動があった。
仲の良かった責任者はいなくなった。代わりにやってきた責任者とはウマが合わなかった。
なんか、やたらと「俺は仕事できるんだぜ!」ってのを前面に押し出してくる奴だった。
アメリカ人かよ!って思った。典型的日本人の俺には苦手なタイプだった。
結局、コイツが嫌で俺は会社を辞めた。
他にもっといい会社があるハズだ。と思ったのだ。
だが、ここから俺の転職人生が始まってしまうとは、この時は思いもしなかった。