「ダメ人間」の履歴書。

働くの大嫌いな俺様がイヤイヤ働いてきた記録。

第1章 お土産屋

今でこそ働くの大嫌いな俺だけど、さすがにこの頃はまだ働く事に希望を持っていた。
これから自分で稼ぐのかと思ったら、ワクワクしたし、近々実家を出る予定だったから、今からカネを貯めておかなきゃ。とも思っていた。
時はまだかろうじてバブル時代。
好景気に世間が浮かれていた頃。
受験に失敗した俺は(思えばこれが最初のつまづき。)とりあえずバイトでもしようかと求人誌を広げた。
当時の求人誌デイリーan (anはアルバイトニュースの略)。
今じゃ考えられない事だがデイリーと銘打つだけに毎日発刊されていた。それだけ求人が多かったんだな。
まだ社会に出ることに希望を持っていた俺は今みたいに対人恐怖症やらコミュ障やらを患ってなかったから、販売の仕事をしてみることにした。
選んだのはお土産屋さん。
駅の売店で東京銘菓を売る仕事だ。
好景気だと書いたが、最低賃金は今よりも低い時代。
時給はたしか750円だった。今なら違法になってしまう金額だな。


応募はもちろん電話。ネットなんてまだ無かった。
この頃は対人恐怖症じゃなかったから、電話もフツーに掛けられた。ドキドキもしない。
面接に来いというので、日にちを決めた。
履歴書も書いた。初めての作業。
写真を貼る箇所があるが、絶対貼らないといけないのか?ちょっと迷った。
なにしろデジカメもスマホも無い時代。
写真はスピード写真で撮るしかない。
これがけっこう高い。当時でも600円とかしてたハズ。
でも貼る部分があるって事は貼った方がいいのだろう。
俺はなけなしのカネを投入した。
これで、準備は整った。
明日は面接だ。何を訊かれるのだろう?
ニート(そんな言葉は無かったが。)の俺は明日に備えて珍しく早く寝た。